「Stay Home」は自分のため?それとも

●外出自粛は何のために行っているのか。と聞かれれば、自分がコロナにうつらないため、と即座に答えられます。不要不急、でも楽しい娯楽が屋外にあっても、コロナにかかる恐怖が外出欲求を押しとどめるのですね。ところが、英国ではニュアンスがすこし異なるようです。例えば、ロンドンの鉄道の駅のホームなどでは次のようなアナウンスが流れるのだそうです。「お願いです。家にいてください。あなたが外出しないことで、誰かの命を救うことができるのです。」つまり、外出自粛は自分がうつるのではなく人にうつさないため、という言い方。この方がずっと英国では心に響くのだそうです。

強制はだれでも嫌いますが、英国人は特に顕著だということで、強制ではなく自発的(ボランティア)な社会貢献のニュアンスを表に出して英国人心をくすぐるのですね。

自宅待機が社会貢献という有意義な活動、う~ん、これは面白い逆転の発想だ。最近は日本でもなにかボランティアにかかわることがはやりになってきましたが、から念仏を唱えるのではなく、「Stay Home」のような簡単で実利の大きいボランティア活動から始めてはいかがでしょうか。特に、来る第2波襲来時の自粛要請に前向きの精神で応えられると思います。

英国では「マスク着用」も同じだそうです。英国ではもともとマスク着用には抵抗感があります。それを「うつらないように」ではなく「うつさないように」を強調することでうまくマスク着用を促しています。

●アフリカ

別に今回の新型コロナがあろうとなかろうと、常に多くの感染症常駐地域です。いわば感染症の存在がノーマルの地域。4月下旬WHOは、サハラ以南のアフリカではマラリアの死者が前年倍増の72万人になると警鐘を鳴らしました。加えてコロナでは19万人が死亡と予測しました。

あるナイジェリアの人は、「アフリカではマラリアなどで毎年何十万人も亡くなっているのに、新型コロナのように騒がれることはない。新型コロナは先進国病だ」と言っているそうです。(朝日新聞Globe6/7より)

先進国の新型コロナ禍は、普段格差に見て見ぬふりをしている先進国人へ天が与えた熱いお灸であるのかもしれません