感動を呼ぶ絵本

カカ・ムラド~ナカムラのおじさん

原作・ガフワラ

訳文・さだまさし

発行者・双葉社

第1刷発行日・2020年12月6日

1500円

ぜひ購入してお読みになることをお勧めします。絵本ですが対象は高学年~大人だと思います。

アフガニスタンで医療、用水路の建設に一生を捧げ、不幸にも現地でいわれなき凶弾に倒れた中村哲医師のことはよくご存じと思います。

この直後に、中村医師に助けてもらったことを後世に語り継ぐためにアフガニスタンで2冊の絵本が出版されました。「カカ・ムラド~ナカムラのおじさん」、「カカ・ムラドと魔法の小箱」です。前者は中村氏が現地で行ってきたことの事実をもとにした創作、後者は中村医師をイメージしたファンタジーです。今回の日本での出版絵本は両者の日本語翻訳。

中村医師は本来精神科医。それが必要に応じて内科、外科を急遽習得し手術も習得して現地医療に貢献されました。それでも診療所を訪れる患者は減るどころか増えるばかり。現地の村々を視察した氏は原因は水不足による飲料水汚染であることを突き止め、井戸の掘削に従事しますが限界を感じ、用水路を建設して恒久的な解決策を計ることを決意しました。しかし、水源までは25㎞、しかも土木工学の素人ということで大変な悪戦苦闘。短時間で必要な土木工学を習得してしまうことは実に凄いことです。何年かの現地人との共同作業で遂に完成。死の砂漠といわれた、ほぼ名古屋市の面積に匹敵するといわれる砂漠地帯が緑の耕作地に変貌して今や65万人の飢えを凌ぐ結果になっているとのことです。用水路建設作業の作業には大勢の現地農民が有給で従事しました。その資金は日本のペシャワール会という後援会が中心となって日本全国の有志から調達しました。貧乏のため銃をもって内戦に従軍せざるを得なかった農民多数が用水路建設作業員として銃をすてて生まれ故郷にはせ参じたとのことです。口先だけの政治家や目立ちたがり屋の活動家でなく、こういう無私の実務活動家こそノーベル平和賞の対象として相応しいのではないでしょうか。

この本の日本語篇翻訳者が意外や、あのさだまさしさん。経歴を見ると小説家でもあるようです。どうりで、秋桜とか心に響く詞が出てくるんですね。

敬意を表してRECOCAのオカリナで秋桜を載せておきます。

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