日本のマイナンバーカード

日本で急速に保有義務化を進めているナンバーカード。いろいろ問題山積のようです。

・ひとつはソフトやアプリのバグ(虫)で他人の情報が出てくる。

・さらに入力ミスで間違った紐づけがされる。

でも、これらは一種の初期トラブルです。出来立てソフトにバグがあるのは当たり前。入力ミスは自治体等に急がせるから大量に起こったこと。ソフト開発会社にしっかりしてもらい、入力者に余裕を持たせればいずれ解決する事。そういう意味では河野大臣の弁明は間違っていません。

しかし問題はシステムの基本設計とかナンバーカードや個人番号の考え方に関わる問題です。いわば哲学の部分です。どうも近年の日本は国家の哲学観が希薄です。個人番号制度およびナンバーカードによって国及び国民をいずれの方向に導くのか、それがはっきりしません。

・基本設計にかかわる事柄

堤未果のショックドクトリンという本があります。この中にシステムの基本設計思想に関して重要なことが書かれています。以下鍵カッコ部分引用。

「コロナ禍でマスクマップを作ったことで世界的に有名になった、台湾のオードリー・タンデジタル担当大臣に、デジタルの制度設計をうまく生かせる秘訣を聞きました。なぜそんな当たり前のことを聞くのかという感じで次のように答えました。簡単ですよ。社会の中で一番システムを使いずらい人たちに合わせて作ればいいんです。この回答を今の日本政府にそのまま聞かせたいです。」

現行日本のシステムは真逆ですね。これがまず根本的間違いです。ですからいくら小手先を弄しても解決しません。

・紐づけ情報の多すぎ

大切なデータこそ分散させる、という基本的哲学が理解されていない。堤未果さんの本の中にマイナポータルで取得できる特定個人情報の一覧が載ってますが、その数は実に61項目に及びます。「通帳と実印と印鑑証明など同じ引き出しに入れないように、デジタル時代の個人情報も、リスク管理の要は、ともかく分散です。」

・持ち歩きの問題

保険証とか運転免許証と連動したらナンバーカードを持ち歩かざるを得なくなります。しかしこれが極めて危険と未果さんの本に書いてあります。紛失したり他人に拾われたり、カメラで盗み映しされたりするとなりすましの温床になるからです。米国では絶対に持ち歩かないことになっているそうです。米国のカードにはわざわざ、持ち歩かないようにという注意書きがあるくらいです。

マイナンバー制度は、外国では当たり前ではない。

鍵カッコ引用

「政府は、マイナンバー制度は海外では常識。日本は遅れているのです、と言いますが本当にそうでしょうか。実は国よって違います。米国カナダは共通番号制度はありますが取得は個人の自由です。日本のように健康保険証廃止で選択肢を取り上げたら大問題になるでしょう。ドイツでは人に共通番号を付けるのは憲法違反です。フランスでは社会保障番号を導入しましたが、政府方針としていろんなものに紐づけしないと明確に規定しています。韓国ではその逆。クレジットカードなどと紐づけされており、買い物の中身はおろか個人の政治思想迄何もかも政府に筒抜けです。2014年には中国のハッキングで国民の7割の個人情報が流出しました。過去10年で17歳以上の40%の人がカード紛失し再発行に100億円かかり深刻な社会問題に。日本より先にナンバー制度を始めた国はありますが、漏洩問題が徹底できず廃止したり、後退している国が少なくありません。日本のように、年金の受取口座、健康保険証、運転免許証、母子手帳、学校の成績・・・など多義にわたる情報を一か所にまとめる個人番号カードを、ザル制度のまま一気に義務化しようとしている国は珍しいでしょう。」

以上を読んで驚愕しました。いかに大衆は外国の情勢に疎いか。国は嘘を垂れ流すし、新聞、TVはだんまり、ネットはどうか知らないがマイナンバーについての適切な解説意見は見当たらないようです。ぜひこの本を読まれることを強く勧めます。国の思うままに流されないために。我々自身を守るためにです。自分で守らなければ誰も守ってくれません。これは国家も個人も同じだと思います。