トリチューム海洋放出の真実

原子力について完全門外漢の自分が処理水の問題を論評する資格があるのかビビっていましたが、今はいい時代ですね。必要な知識、もっともそれは上っ面にすぎませんが、素人が論評するに足る情報はすぐ集められます。つい先日大臣が処理水のことを汚染水と口を滑らせて大炎上を来しましたが、ちょっとした意欲で情報は集まるんだから、担当大臣である以上そのくらいの最低限の勉強はしてほしいと強く思いました。

汚染水と処理水を混同するなど話になりません。単なる言い間違いでなく無知の露呈です。

さて、一般にすべての原発では炉心を冷やす冷却水が必要です。そして冷却後の水は高濃度の放射性物質を含みます。その意味で原発から出る冷却水は汚染水です。それを「ALPS」という処理装置で放射性物質を基準値以下に取り除きます。ALPSで放射性物質を除去した水のことを処理水と言います。ただしトリチュームという放射性物質だけは除けないので、海洋放出する場合は国際的に決められた基準以下の濃度に薄めてから放出します。

さて、ここで大事なポイントを上げておきます。

・冷却水の汚染水⇒ALPS⇒処理水。このプロセスは世界中すべての原発で行われています。日本の福島以外の原発においてもしかりです。唯一の違いは福島が事故後の汚染水である点です。しかしALPSからの処理水が、事故なしの場合の処理水と同じ安全性を満たしているのなら問題ないはずです。そしてこのことは先般IAEA原子力の国際機関)の出張監査で確認されました。汚染水と処理水の定義を正確に把握することが重要です。例えば令和新選組の山本代表は、福島原発のALPS処理水のことを汚染水と呼んでいるそうです。これは単に山本代表の政治的命名にすぎず、一般人を混乱させる質の悪い言い換えです。さらに福島の海洋放出のことを、前例のない放射能汚染水の太平洋放出として反対しているそうですが、これも事実誤認です。なぜなら世界中の原発が海洋放出しており、前例だらけだからです。

そもそも福島原発の処理水海洋放出は2021年に決定され在外公館にアナウンスされています。そのとき、だれからも反応はなかったとのことです。なぜなら、反対しても「あなたの国もやっていますよ。」と日本から言われたらそれ以上反対できませんから。今回中国と韓国が反対してますが同じことです。あなたの国もやってますよ、の一言で済む話なのに政府、外務省は何をもたついているのでしょうか。中国韓国以外の欧米の原発は桁違いのトリチュームを含む処理水を海洋放出しています。ですからこれらの国々は日本の方針を容認するしかありません。この問題で国際的に孤立しているのは中韓(北・露)なのです。中韓が国際社会から盗人猛々しいと思われる不利益は大きいでしょうね。例えば中国が現在希望しているTPP加盟は容認されないでしょう。

さて、そろそろ私の結論の記したいと思います。

中韓の政治的偏見による反日政策は論外として、私はトリチュームの海洋放出については非常に危惧しています。なぜなら薄めた処理水とはいえ世界中の海にばらまかれることに変わりないからです。トリチュームは他の放射性物質に比べ人への有害性は非常に小さいらしいですが、魚など海洋生物にはどうでしょうか。原発が存続する間処理水は休みなく海洋にながれ、トリチューム濃度は蓄積します。何百、何千年スケールの海洋汚染の安全性についてのシミュレーションは行われているのでしょうか。そういう直感的な理由で私は全ての世界中の原発を廃棄すべきだと思っています。原子力については何が起こるか分かりませんから。人間の知性や知恵では管理能力がないのです。方や何万年単位の半減期、これを百年未満の寿命の人間が管理するのは今の人類ではとても無理、無理!

社民党の福島代表の発言は極めて的をついていると思います。「基準以下に薄めるといっても毒は毒。薄めて海に流すことでこれ迄幾度も公害が起きてきた。それを繰り返すのか」惜しむらくはこれが福島処理水のみに向けられた批判であること。もう一言欲しかった。⇒「ゆえに世界中の原発をやめるべきだ」と。