実に興味深い日本の食料自給率です。いかに危機的状態か。すべての日本国民は知るべきです。そして今すぐ行動を起こすべきですはないでしょうか。文芸春秋2022年4月号「日本の食が危ない」から。
前回の拙記事で食糧自給率の危機について書きました。その際の数字は食品そのものの自給率を記しました。これにさらに種や飼料の海外依存度を加味した実質的食糧自給率を出してみると、まさに驚くべき危機的数字なのです。つまり、実物だけでなく種や飼料さらに肥料の輸入が出来なくなったら干上がってしまうということです。それが以下の表です。
2020年の数字と2035年の推定値が記されています。Aは実物の自給率、Bはそれに関係する種、飼料、肥料の自給率です。ですからここでいう実質的自給率とは(A×B)%のことになります。右端の縦の欄を見てください。例えばコメの自給率が97%で安心していたら、あにはからんや実質的には10%だというのです。なぜなら、Bの欄が10%だからです。以下同様です。2035年にはどうなるかの予測を見てください。凍り付くような数字ですよ。コメも野菜も同列。これは2017年の種子法廃止と種苗法改正のせいです。貿易政策も問題。米国を相手に農産物の関税撤廃を行い、見返りに自動車の輸出枠を確保する政策を推し進めています。つまり、自動車産業を守り国家ぐるみで農業を差し出す生贄にしてきたと元記事の筆者は鋭く指摘しています。
さらに、農業を守る財政政策が貧弱になったことが問題と指摘しています。日本の農業は過保護と欧米に批判されて国の農業を守る財政支出が削減されました。過保護はデマのようです。外国の方が日本より遥かに手厚い保護政策をとっているとのことです。この点で日本は無策だと筆者は指摘しています。例えばフランスなど日本の何倍もの過保護。さらに米国の農業こそ補助金まみれだそうです。結局日本の胃袋は米国にその生死をがっちり握られてしまっているのです。それをほっておいて軍事増強。これこそ砂上の楼閣の見本ではないでしょうか。今後日本を背負う若者はこのことをしっかり見据えて判断行動しないと自分も日本も自然消滅の憂き目を見ることは火を見るより明らかです。