たかが富士、とはいかないようだ。

さすが、日本の象徴の第一番目の富士山ともなると、たかが見え方(景観)ひとつで何騒いでるんだ、と私ら天邪鬼党みたいに斜に構えているわけにはいかないようだ。

①まず、つい最近富士山の地元の河口湖の駅前で起こったこと。何だか知らないが駅前のコンビニ越しに富士山を撮影するのが日本はじめ海外観光客のはやりだとかでやたら有象無象が群がって地元に迷惑をかけるんだそうである。その解決策は?富士山かコンビニを隠すこと。どっちを隠したと思います?もちろん富士でなくコンビニです。コンビニを黒幕で覆い隠してしまった。こんごは群れずに散らばって富士山を撮影しなさい、ということである。

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②今朝の朝日新聞を見て仰天しましたね。

なんとなんと、完成して引き渡し寸前の高層住宅(ビル)を建設者が自主的に完全解体撤去することにしたのである。理由は?何の違法性があるわけでもないのに。実はこの建造物、富士山を半分覆い隠して、その名物景観を著しく害するのです。住民からの猛反発に熟慮の末の解体決断だそうです。建築主は積水ハウス。さすが大手。中小不動産屋だったらこうはいかないだろう。何しろ建築の違法性皆無なのですから。問題の場所は東京都多摩の国立市

右の写真は建築前。それが左のよう2に富士山を半分覆い隠すことに

②わが街東久留米からの富士景観

実は、国立の景観騒動は我らにとっては対岸の火事ではないのだ。他人はどうかっ知らんが少なくとも自分はそう感じている。東久留米の駅から西方に開発された大通一本道の先にはまさに国立と同じ富士の景観が存在するのである。富士の景観を確保するために道路の幅を大きくとったのではないかとさえ思える。なぜなら、この道路だけ東久留米の田舎道にそぐわぬ広さなのだから。(と言っても相対的なもので大したことはないのだが)そのため駅の西口に小高い富士見テラスを設置して、そこからの富士の遠景を東久留米名物として売り出しているのである。実際テラスからの富士の眺望はなかなかのものである。

市の出版物から

これを見てどう思いますか。今朝国立の写真を見てびっくり仰天したと書いたのは、まさに見慣れた東久留米のこの写真と瓜二つだからである。と同時にその景観保持の危うさも見て取れる。富士山の全景は今の所辛うじて保たれている。がしかし、それがいつまでも保たれるのか保証はない。国立市のケースのように道路脇に高層建造物が建てば一発アウトだからである。テラスからの富士の景観が市の名物と宣言する以上、景観を害する建造物の禁止条例くらいすぐに作るだろうと思っていたが、驚くことにこれまでなんの措置も講じられていないようだ。ということは、この名物の存続は建築主の善意次第という危ういものなのである。何とも日本らしいではないか。国際社会に性善説は通用せず、今や日本も下々迄悪意の浸食を受けつつあるというのに。