ハワイの火山(ホットスポット型)

前回の記事では海溝型火山について、その出来方などお話しました。日本に数多ある火山はすべてこのタイプです。

世界の火山にはもう一つ全くタイプの異なるものがあります。それはホットスポット型と言われる火山です。このタイプの火山は日本には存在しません。この型の火山で有名なのは米国のハワイとイエローストーンです。そのほか世界に百か所ほど存在します。

ホットスポット火山の分布図

さて、地下に存在する熱いマントルは、大規模な対流をしながら地下を流動しています。(対流=やかんの熱湯がぐるぐる回る動きのこと)その流動の過程でいろんな場所でマグマとして地表に顔を出します。顔の出し方が局所的な場合をホットスポットと言い、噴火すればそこが単独の火山となります。ハワイ、イエローストーンがその代表例です。ハワイはマントル起源のマグマが海洋底を突き破って火山となった例、イエローストーンは陸上に形成されたホットスポットの例です。

一方、マグマの顔の出し方が大規模連続的な場所があります。それはプレートが互いに離れていく場所です。離れていくプレートの間からマグマを噴出するのです。そこでは単独の火山でなく直線状に連なる火山列島のような形になります。実は上の図にひかれているジグザグの赤みがかった線がそれです。図で見るようにほとんどが海洋上に存在します。なのでここでは火山と言わずに海嶺と呼びます。一番有名なのは大西洋のど真ん中を走る海嶺群。これを大西洋中央海嶺と呼びます。この海嶺群は活発な海底火山です。ここで噴火したマグマはすぐに海水で冷やされて固化し、新しい海洋地殻として年数センチの速度で東西に動いていきます。なお、同図で青い突起のついた線は海溝(プレートの沈み込む場所)を表しています。

さて、ハワイのホットスポット火山で面白い現象が見られます。ご存じのようにハワイはハワイ諸島と呼ばれるように小島が一直線に連結する形をしています。これはホットスポットの火山形成とプレート移動によって作られた形です。

現在は一番東のハワイ島にしか活火山は見られません。つまりこの直下にホットスポットがあるのです。それがプレート移動に伴ってプレートに乗っているハワイ島も西方(左)に移動し、ホットスポットを離れて火山も消滅し海中に没していくのです。

西側の、ホットスポットを離れた休火山の年代を調べて、それとホットスポットとの距離からプレートの移動速度年間数センチ~10センチが初めて算出されました。

ところで以前拙記事で将来ハワイがプレートに乗って日本にやってくる、という話をしましたが、今回の記事で述べたようにハワイのリゾートがそのままの形でやってくるのではなく、海中に没した海山の姿でやってくるのです。これではあまり面白くもありませんね。