米国在住の真鍋氏他二名の研究、温暖化の予測法開発が物理学賞を受賞した。これは受賞の研究領域がぐっと身近になったという意味で画期的だと思った。これまで物理学賞というと、宇宙とか、素粒子とか、物性物理の分野から選ばれるのが全てである。それが突然地球科学。同じ地球科学を勉強したRECOCAにとってもなじみ深い領域といいたいところだが、ちょっと違う。RECOCAの場合は固体、つまり岩石領域、平たく言えば地下が対象で、空中のこと、気象、気候に接する機会は皆無だった。お隣に気圏の研究施設はあったが研究とか勉強の交流はなかった。もう少し横の繋がりがあればより身近に感じられるのにと少し残念に思う。
どうせなら近い将来岩石圏の地球科学の分野からも受賞者が出ないかと希望が膨らむ。そうなった時の受賞対象分野は、まず間違いなく大陸移動、プレートテクトニックスであろう。大陸が動くなんて言い出して理論化したした人なら受賞の選考は簡単だが、言い出しっぺから理論家迄非常に多くの学者が関与しているから数人に絞るのは無理かもしれない。それだけまだ成熟してない分野といえるかもしれない。
ところで真鍋博士に戻って、研究の発端は大学院の頃だと書いてあるからずいぶん昔だ。当時の論文が米国の研究機関の注目するところとなり、20代で米国移住された。つまり頭脳流出である。比べると研究環境、待遇とも天国と地獄らしい。給料は20倍になったとか。日本人の受賞と喜ぶのはいいとして、受賞の研究成果はあくまでも米国で行われたもので、日本の研究成果ではない。今後この傾向はますます顕著になるだろう。ごく最近では、ノーベル賞の呼び声高い学者が研究環境の問題から中国に移動された。今深刻化している日本の若い理系研究者を蝕む研究環境の諸問題を改善改革しないと世界をリードする研究成果は今後10年くらいで出なくなると思う。オリンピックの金メダルラッシュみたいにその穴は中国が埋めることになる。