「書いてはいけない」森永卓郎著

件名の本を読んだ。読み始めると止まらなくなる。それは絶対に請け合います。現在でもアマゾン1位か2位のベストセラー。すでに定価1650円の他に3000円以上のプレミアム価格が付いた商品も出ています。ミステリー本より格段に迫力ある。なにしろ、題材がいずれも日本で本当に起こったことだから。著者は昨年12月がんの第4ステージの宣告を受けた。その時点から書き始めた著者のいわば遺書である。ぜひ一人でも多くの日本人に読んでもらいたい内容が盛り込まれている。ぜひその真摯な迫力に触れて頂きたいと思い本書を紹介する。

著者は著名な経済評論家、メデイァコメンエイター。その経験の中でメディアでは決して触れてはいけないタブーが3つ存在するという。①ジャニーズの性加害、②財務省のカルト的財政緊縮主義、③日本航空123便墜落事件。とくに②と③が重要である。この二つはこの40年間の日本経済没落に深く関係している。こんなことは本書を読むまで思いもつかなかった。こういう説の存在を知ることができるだけでも本書を読む価値がある。

 

引用1

「この3つに関しては関係者の多くが知っているにも拘らず本当のことを言ったら瞬時にメディアに出られなくなるという掟が存在する。それだけでなく、世間から非難の猛攻撃を受ける。下手をすると逮捕され裁判でも負ける。だから、賢い人はそうした話題には最初から触れない。知らぬ存ぜぬを貫く事だけがメディアに出続けるために必要なことだからだ。ただ、私はそうした態度をとることができない性格だ。・・」

引用2

「この30年間、日本経済は転落の一途をたどった。なぜこんなことが起こったのか。私は原因は二つだと思っている。一つは財務省が進めてきた必要以上の財政緊縮政策。財政をどんどん切り詰め国民生活を破壊する。そしてもう一つが日本航空123便の墜落事件に起因して日本が米国にどんどん主権を奪われて行ったという事実だ。国の財政政策をすべて米国に任せてしまえば日本経済がまともに動くはずがない。日本がいつまでたっても主権を取り戻せないでいるのは、単に日本航空123便の墜落原因について米国ボーイング社に泥をかぶってもらったという事実だけではない。123便墜落原因についての日本政府のうそに対して口裏を合わせてもらって40年。その負い目から米国に服従せざるを得ない状況が続いているのである。」

私がこの本を読んで驚き震撼した部分は引用2についてである。こんな形で日本経済の没落と日航123便の墜落事件が結びついているとは夢にも思わなかった。恐らくこの書を読んでない方は言われてもなかなかピンとこないであろう。なので、次回はまず123便墜落事件についての森永氏の記述を中心に彼の見解を見ていくことにする。

こういう話は陰謀論として無視されがちだが、緻密な筋立ての展開は陰謀論とは無縁のものである。むしろ国と事故調査委員会の見解の方が陰謀論に見えてくる。でもこんな話、知ってよかったのだろうか、知らないほうがよかったのだろうかと悩んでしまう話だ。また、推理小説のように面白くて一気呵成に読み終えてしまうが、日本の置かれた実情に妙に落ち込んでしまう内容でもある。